株式会社設立Q&A
- 資本金はいくらに設定すればいいのですか?
- 今回の新会社法で、最低資本金の規制が撤廃されていますので、資本金1円からでも株式会社を設立することが出来ます。資本金が1,000万円未満の法人なら、設立後原則として2年間、消費税の免税事業者となります。しかし、「一般派遣業許可」など許認可の取得にあたっては、一定金額以上の資本金であることが要件とされる場合があります。また、「1円から設立できる」と言っても、銀行等の融資を受ける場合にはマイナスポイントとなることも多いです。目的に合せて資本金の額を設定することをお勧めします。
- 発行可能株式総数はどれくらいにすればいいのですか?
- 会社によって違ってきますが、将来増資の可能性があるならやや多めに設定しておくほうがいいでしょう。昔は発行可能株式総数の1/4を超える株式を発行しなければならないという決まりがありましたが、新会社法になってからはその制限はなくなりました。
発行可能株式総数を変更する場合には登記が必要となることから余分な出費を抑えるためにも多めに設定しておくのが良いというわけですね。 - 「有限責任」とは、どういう意味ですか?
- 有限責任とは、自分の出資した金額の範囲内でのみ責任を負うことをいいます。
つまり、会社が倒産しても出資したお金が戻ってこないという範囲で、責任を負うことになります。
ただし、会社の代表者の場合、銀行等の融資に関して会社の連帯保証人になっている場合がほとんどです。この場合には連帯保証人となった金額は、個人資産を犠牲にしてでも責任を負うことになります。また、代表取締役は経営上の責任を問われる場合がありますので、一人会社の場合には注意が必要です。 - 設立の種類にはどのような方法がありますか?
- 会社の設立方法には2種類の方法があります。
「発起設立」と「募集設立」です。発起設立とは、限られた人だけで出資を行い、会社を設立する方法です。募集設立とは、出資者を募集し、より多くの資金を集めて会社を設立する方法です。
当然、募集設立の方が一般的に複数株主で面識の無い方も株主となるため、複雑なものになります。小規模な会社を設立するのであれば、発起設立で設立するのが一般的でしょう。 - 外国人でも、株式会社を作れますか?
- 可能です。
ですが、一般的には日本人と比べるとビザ等の資格要件が厳しくなります。 - 自己破産をしているのですが、会社を作ることはできますか?
- 可能です。
旧商法では、破産宣告を受けて復権していない人は会社の役員になることはできませんでした。
しかし、新会社法では会社を設立することも、会社の役員(取締役・監査役)になることも可能となりました。ただし、業種によっては、破産者は許認可を取る上での欠格事項となる場合もありますので、会社は設立したが事業ができない・・・ということにならないよう注意は必要ですね。 - 監査役とは何ですか?
- 監査役とは、会計に関する監査を行う役員のことをいいます。
新会社法では監査役の設置が任意になりました。監査役の職務は、取締役が株主総会に提出しようとする会計に関する書類を調査して、株主総会にその意見を報告することです。
監査役が専門家である必要はありませんが、会社の取締役・支配人・従業員などを兼ねることはできないなどの資格に関する一定の制限があります。取締役を3名以上にして取締役会を設置すると、必ず監査役を設置しなければなりません。 - 会計参与とは何ですか?
- 新会社法で新たに認められた機関で、取締役(委員会設置会社においては執行役)と共同して、計算書類及びその附属明細書、臨時計算書類ならびに連結計算書類を作成する会社のことをいいます。最近では、大きな会社の場合、社外取締役の導入などによって、企業に関する情報の公開等、透明性が強く求められてきています。 その流れから中小企業にも計算書類の信頼性・正確性を保つことができるような仕組みを導入したのが、会計参与という制度になります。
会計参与の設置は強制ではなく、定款で定めることにより設置することができます。会計参与については、公認会計士(監査法人)もしくは税理士(税理士法人)でなければなれません。 - 株式一株の価額を決めるのに、何か制限があるのでしょうか?
- 昔は、「1株当たり5万円以上」という制限がありましたが、現在は自由に決めることができます。資本金1円から設立できるようになったので当然ですね。
- 出資の割合はどのように決めたほうがいいでしょうか?
- 出資の割合は、会社を運営する上での決定権(株主総会での議決権)に影響してきます。例えば2人で設立する場合に、会社の経営権を握っていたいと考えるならば、他の出資者の出資比率を50%未満に抑えるなど、将来的なことも考えて決めておいたほうがいいでしょう。
- 公証役場はどこを利用すればいいでしょうか?
- 登記の申請を行う法務局の管轄の公証役場であれば、何処でも構いません。
- 土日祝日でも設立できますか?
- 残念ながら出来ません。設立日は法務局に申請を行った日となりますので、法務局が休みの日は受け付けてもらえないことから会社設立日と出来ないわけですね。「この日が自分にとって記念日だからどうしてもこの日がいい。」という方もおみえでしょうから、事前に申請すれば以降の設立日を指定できると一番いいのでしょうけどね。残念ながら今のところはそうなっていないのが実状です。
合同会社設立Q&A
- 合同会社(LLC)と株式会社との違いは何ですか?
- 合同会社と株式会社との違いとして次のようなものがあります。
1.株式会社においては、出資者である株主が取締役を選任し、その取締役が業務を執行するのに対し、合同会社においては、機関設計や社員の権利内容等については強行規定がほとんど存在せず、広く定款自治に委ねられています。
2.持分の譲渡に関する規律について、株式会社においては、株式の譲渡自由の原則が採用されています。それに対し、合同会社においては、持分の譲渡は他の 社員全員の一致が要求されています。合同会社も株式会社も「法人格」ですが、合同会社の方が簡単に設立でき、設立費用も安くなっています。 - 合同会社 と有限責任事業組合(LLP)の違いは何ですか?
- 合同会社は「法人」、有限責任事業組合は民法上の「組合」のことをいいます。
有限責任事業組合は新会社法の施行で新たに設立が可能になった事業形態で、「会社」ではなく、「民法上の特例の組合」なのです。合同会社は法人課税が適用 されますが、有限責任事業組合は法人格が無いために「パススルー課税」という制度を使えることで、組合自体に課税はされず、利益配当を受けた出資者のみに 課税(構成員課税)されるというのが最大の特徴です。合同会社は法人ですので当然のことですが法人としての申告が必要になります。 - どのような事業を始める際に合同会社を検討した方がいいですか?
- 合同会社は次の場合に活用するのが有用でしょう。
①株式会社よりも意思決定の面で機敏性があることから、機敏性を重視する場合。
②単独でリスクを負いたくないなどの理由から、他社と共同開発を行うような場合。
③各社の得意分野の技術を結集し、共同開発等を行うような場合。
④単に法人格を取得するという目的の場合。
などの事業への活用が考えられます。また、合同会社は株式会社への組織変更ができますが、有限責任事業組合はできません 。 - 事業を開始する際、どんな基準で合同会社と有限責任事業組合を選択すればよいのでしょうか?
- 上記のような違いから合同会社の方が向いているといえる事業は
・将来の株式公開を予定している事業
・永続的に行われる事業
・安定的な収益を生み出すような事業
といえます。
他方で有限責任事業組合に向いているといえる事業は
・個人や企業の信用や能力を前面に出す事業
・期限を区切ったプロジェクト
といえるでしょう。