税務お役立ち情報

出向とは

出向とは、労働者が自己の雇用先の企業に在籍したまま、他の企業の従業員又は役員となって相当の期間にわたってその他の企業の業務に従事することをいいます
つまり、出向元(出向者を出向させている法人)との雇用関係が継続しているだけでなく、出向先(出向元法人から出向者の出向を受けている法人)の指揮命令を受けて就労していることが出向となります。

 

転籍とは

出向と似たものに転籍があります。出向、転籍両方とも他の企業の指揮命令下で就労させるものですが、出向は出向元との雇用契約が継続しているのに対し、転籍は転籍元との雇用契約が終了している点に違いがあります。

 

出向者と出向先法人との関係

出向により、出向者と出向先事業者との間に部分的又は包括的な労働契約関係が成立し出向先事業者は、自らの就業規則に従って出向者の労働時間、休日等の勤務形態を決定し出向者に対する指揮命令や勤務管理を行い、人事考課、懲戒、解雇等の人事権の一部又は全部を行使することになります。

 

出向者と出向元法人との関係

出向者と出向元事業者とは、その労働契約は維持されるものの、出向者は出向元事業者の業務には従事しないことになります。

 

出向元法人と出向先法人との関係

出向元事業者と出向先事業者との間で出向に関する契約書を取り交わし、出向期間、出向者の労働条件、出向者の給与、退職給与の負担やその支給方法等を具体的に定めるなどの措置が執られるのが通常です。

 

給与等の格差補填金の法人税法上の取扱い

雇用関係が継続している出向では、出向元法人が出向者に対して、出向後の給与の減少部分(格差)を補てんした場合、その格差補填金は出向者の勤務実態のない出向元法人で損金算入が認められています。

 

給与負担金

出向者に対する給与を出向元法人が支給することとしているため、出向先法人が自己の負担すべき給与に相当する金額(給与負担金)を出向元法人に支出したときは、その給与負担金の額は、出向先法人におけるその出向者に対する給与として取り扱うものとします。

 

消費税の取扱い

事業者が事業としてほかの者から役務の提供を受けた場合は、課税仕入れに該当しますが、その役務の提供が雇用契約に基づくものであり、その支払った対価が給与所得となる場合には、課税仕入れには該当しません。
したがって、事業者が使用人を子会社や関連会社に出向させる場合、出向者に対する給与の負担方法には次のようなものがありますが、いずれの方法であっても、給与負担金について課税関係は生じません。
① 出向元が給料の全額を支払い、その一部を出向先に請求する方法
② 出向先が給料の全額を支払い、その一部を出向元に請求する方法
③ 出向元と出向先がそれぞれ給料の一部を支払う方法

 

出向は、子会社・関連会社への経営・技術指導、従業員の能力開発・キャリア形成、雇用調整、中高年者の処遇などさまざまな目的で今後さらに活用されていくものと思われます。


・2018年10月16日 公開


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