税務お役立ち情報

地方法人税が創設されました

年末が近づくと、年末調整もあり、所得税が話題の中心になりがちですが、法人に関連する改正もありましたので、簡単にご紹介させていただきます。

 

『地方法人税』が創設されました。

法人に対する増税なのか??

と思ってしまいますが、税務署などが公表しているものを見ると、そうではないと記載があります。

実際は、どうなのでしょうか?

『地方法人税』は地域間の格差を縮減するために作られた税のようです。
地方ごとに地方税を直接課税せずに、いったん国税として課税し、地方交付税として、地方公共団体に再配分していくものと思われます。

 

これと同じような理由で、現在施行されているものに『地方法人特別税』という税金があります。

似たような名前でややこしいですね。
違いを少し記載します。

 

『地方法人特別税』
・・・2008年から施行されています。
法人事業税の一部を移管。
もともと事業税なので、法人税の計算上は損金算入できます。
申告書は事業税の申告書に記載欄があり、都道府県に提出します。

『地方法人税』
・・・今回新設されたものです。
法人住民税の一部を移管。
こちらは、住民税をうつしたこともあり、法人税の計算上は損金不算入になります。
申告書は法人税の申告書に記載欄が作られました。税務署に提出します。

 

適用時期は、平成26年10月1日以後に開始した事業年度からです。

まだまだ適用する決算は先と思ってしまいがちですが、9月決算の法人が、決算月を変更した場合などは、早い時期から地方法人税が適用になりますので、ご注意ください。

 

 

東京都の法人を例に税率を比べてみました。

改正前と改正後の税率に違いがあるかを比較してみます。

※単純な税率比較を行っております。実際税金を計算する場合とは異なる点がありますので、申告される際は、税務署や税理士にご相談ください。

(例)
本店:東京都の特別区
外形標準課税:対象外

年間の所得が400万円以下
軽減税率を適用(標準税率)

【平成26年9月30日までに開始した事業年度分】

法人税     15.0%
法人事業税    2.7%
地方法人特別税  2.187%(事業税の81%)
法人都民税    2.595%(法人税の17.3%)
合計      22.482%

【平成26年10月1日以降に開始した事業年度分】

法人税     15.0%
地方法人税    0.66%(法人税の4.4%)
法人事業税    3.4%
地方法人特別税  1.468%(事業税の43.2%)
法人都民税    1.935%(法人税の12.9%)
合計      22.463%

 

比較してみますと、法人都民税が17.3%→12.9%に4.4%減額され地方法人税に移っていることがわかります。

また、地方法人特別税が減額され、減額された部分が事業税に戻っているようです。

合計の税率は、公表されている通り、増加せず、既存の税率と同程度となりました。

 

税制改正が多く、複雑になっておりますが、必要のない附帯税(罰金のようなもの)を取られないよう正しい申告を心がけましょう。


・2015年6月23日 公開


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