税務お役立ち情報

借地権の認定課税について

=借地権の意義、設定方法と使用貸借=

1.借地権の意義、設定方法

一般的に借地借家法に定める「建物の所有を目的とする地上権又は賃借権」のことを言います(相続税法、所得税法、法人税法の規定により若干範囲は異なります)。

また、借地権は一般的に土地等の賃貸借契約を締結することによりその設定が行われます。

なお、契約時の権利金の収受に関連して下記に記載しているような認定課税の問題が出てきます。

 

 

2.使用貸借

上記の賃貸借契約とは異なり他人の所有物を無償で借りて、その後目的物を貸主に返還する契約を使用貸借と言います。

たとえば親の土地をタダ(又は固定資産税以下の支払)で子供が借りて家を建築し、居住する場合などが該当します。

この場合ですと、そもそも借地借家法が適用されないことから認定課税の問題は発生しません。

借地権の設定に際し、通常権利金を収受する取引上の慣行があるにもかかわらず権利金を収受しないとき、税務上ではこれらの行為があったものとみなして課税(認定課税)がなされます。

ただし、この取扱いは同族関係にある個人及び法人間の取引に対してのみ適用され、第三者間取引(利害の反する当事者間の取引)には適用されません。

注意すべきはあくまで同族関係間の取引となります。

 

 

=認定課税の概要=

借地権の設定に際し、通常権利金を収受する取引上の慣行があるにもかかわらず権利金を収受しないとき、税務上ではこれらの行為があったものとみなして課税(認定課税)がなされます。

ただし、この取扱いは同族関係にある個人及び法人間の取引に対してのみ適用され、第三者間取引(利害の反する当事者間の取引)には適用されません。

注意すべきはあくまで同族関係間の取引となります。

 

 

■地主が個人の場合

…地主に対して認定課税はありません。

理由として、個人の場合必ずしも経済的利害だけで行為が行なわれないことから、所得税法では無償による資産の譲渡や役務の提供は別段の定めを除き収入金額があるとみなさない(未実現利益には課税しない)とされています。

 

1)同族会社に貸付けた場合

…借地権相当額(受贈益)に対して法人税が課されます。

借地権xxx/受贈益xxx

 

2)個人に貸付けた場合

…借地権相当額の贈与があったものとして贈与税が課されます。

※借地権相当額とは…自用地価額に借地権割合を乗じた金額です。

 

ちなみに借地権割合とは一般的に路線価図に記載された割合のことを言いますが、借地権設定時の価額を算定する等の場合には客観的に見て合理的な割合を用いることも出来ます。

 

 

■地主が法人の場合

…個人と違って地主に対しても認定課税があります。

1)同族会社に貸付けた場合

地主 :借地権相当額を寄付したものとして寄附金課税がされます。

借地人:借地権相当額(受贈益)に対して法人税が課されます。

2)個人(地主法人の役員や使用人)に貸付けた場合

地主:役員又は使用人に借地権相当額の給与を支給したものとして
認定課税されます。

借地人:給与所得があったものとして所得税が課税されます。

 

 

=認定課税されないために=

通常の権利金(借地権相当額)、通常の地代を収受していれば認定課税を受けることはありませんが、権利金の収受が無い場合でも下記に該当する時は認定課税はされません。

 

■相当の地代を授受している場合

…権利金の収受に代えて通常よりも高い地代(相当の地代)の授受があるため認定課税はされません。

金額的には土地の更地価額(時価)のおおむね年6%ですが、時価は増減してしまうことから、おおむね3年以下の期間ごとに改定を行う必要があります。

なお、更地価額に代えてその土地の相続税評価額又はその評価額の過去3年間の平均額など、合理的に計算した金額によることも認められます。

 

■無償返還の届出書の提出

…当事者間が連名で税務署長に提出する書類です。
この届出書を提出した上でその借地契約書に将来無償でその土地が返還されることが明らかにされているときは借地権の認定課税はされません。

ただし、当事者間において借地権がないということを前提としていることから、特別な経済的利益等がある場合には適用がありません。

また、個人間の土地貸借には無償返還の届出制度がないことからあくまで個人、法人間の賃貸借取引に関して行う届出となります。

 

※無償返還の届出書を提出したとしても相当の地代の授受がない場合には贈与税や法人税法上の寄付金課税の問題が発生してししまう可能性があるので、提出する際には慎重な判断が必要となります。

いかがでしたでしょうか。

親族間での賃貸借となると、第三者間とは違い契約書が無いとか権利金の授受が無い場合が多々あるかと思います。

 

税務調査時に指摘をされた場合、あっと驚くような追徴課税が発生することもあり得ますので、もしお心当たりがある方は一度税理士に相談をされてみてはいかがでしょうか。

 

 

記 H27.7.8


・2015年7月9日 公開


名古屋・東海の会社設立に関することなら、いつでもお気軽にご相談下さい。 0120-633-017
お問い合わせメールフォーム