雑損控除とは
「雑損控除」とは、災害や盗難、横領によって、資産について損害を受けた場合に、一定の金額の所得控除を受けることをいいます。
「雑損控除」を受けるためには以下①~③の要件に当てはまることが必要です。
①損害の原因が次のいずれかの場合であること。
1 震災、風水害、冷害、雪害、落雷など自然現象の異変による災害
2 火災、火薬類の爆発など人為による異常な災害
3 害虫などの生物による異常な災害
4 盗難
5 横領
(注) 詐欺や恐喝の場合には、雑損控除は受けられません。
これは「雑損控除」が1~5のように本人の意思に基づかない事に起因して生じた損失に対して規定されたものであると考えられ、詐欺や恐喝はそこに錯誤があったとしても本人の意思に基づいてなされたことであるとみなされる為の様です。
②資産の所有者が次のいずれかであること。
1 納税者
2 納税者と生計を一にする配偶者やその他の親族で、その年の総所得金額等が38万円以下の者
③資産が次のいずれにも該当しないこと
1 棚卸資産
2 事業用固定資産
3 生活に通常必要でない資産
(注) 生活に通常必要でない資産とは、例えば別荘など趣味、娯楽、保養又は鑑賞の目的で保有する不動産(平成26年4月1日以後は同じ目的で保有する不動産以外の資産(ゴルフ会員権など)も含まれます。)や貴金属(製品)や書画、骨董など1個又は1組の価額が30万円超のものなど生活に通常必要でない動産をいいます。
雑損控除の金額の計算
「雑損控除」として控除できる金額を計算するにあたり、以下のように差引損失額を計算する必要があります。
差引損失額=損害金額+災害等に関連した-保険金などによりやむを得ない支出の金額 補填される金額
「損害金額」とは、損害を受けたときの直前におけるその資産の時価を基にして計算した損害の額をいいます。(平成26年分から、損害を受けた資産が減価償却資産である場合には、その資産の取得価額から減価償却費累積額相当額を控除した金額を基礎として損害金額を計算することができます。)
「災害等に関連したやむを得ない支出の金額」とは、災害により滅失した住宅、家財などを取壊し又は除去するための支出や、盗難や横領により損害を受けた資産の現状回復の為に支出した金額をいいます。
「保険金などにより補填される金額」とは、災害などに関して受け取った保険金や損害賠償金などの金額をいいます。
「雑損控除」として控除する金額は、次の二つのうちいずれか多い方の金額となります。
①(差引損失額)-(総所得金額等)×10%
②(差引損失額のうち災害関連支出の金額)-5万円
「災害関連支出の金額」とは、災害等に関連したやむを得ない支出の金額のうち、災害により滅失した住宅、家財などを取壊し又は除去するために支出をいいます。
(「災害等に関連したやむを得ない支出の金額」と違い盗難や横領による被害は含みません。)
適用するための手続など
雑損控除を受けるためには、確定申告書に雑損控除に関する事項を記載するとともに下記の書類の添付又は提示が必要となります。
1 災害の場合は被災証明
2 盗難の場合は盗難証明
3 横領の場合は告発書写し等
4 給与所得の源泉徴収票(原本)
また、損失額が大きくその年の所得金額から控除しきれない場合には、翌年以後(3年間が限度)に繰り越して、各年の所得金額から控除することができます。
雑損控除とは別に、その年の所得金額の合計額が1,000万円以下の人が災害にあった場合は、災害減免法による所得税の軽減免除があり、納税者の選択によりどちらか有利な方法を選択することが可能です。
配偶者特別控除・配偶者控除等申告書とは
書類様式の変更
年末調整時に税務署から届く「給与所得者の保険料控除申告書 兼 配偶者特別控除申告書」については、平成30年分以後、「給与所得者の配偶者特別控除申告書」と「給与所得者の配偶者控除等申告書」の2種類の様式となる予定だと平成30年度分以降の配偶者控除及び配偶者特別控除の見直しの最後のに記載がありました。
ということは、「保険料控除申告書」を入れると計3種類(枚)となります。
もちろん、源泉徴収票も少し様式(項目名)が変更になります。
平成30年分以後なので、まだ詳細の様式の発表は先ですが、給与ソフトを使用している方はソフトを最新版に更新すれば対応しているでしょうが、手書き・手計算の方は覚えるまでは煩雑だと思いますので、注意が必要です。
マイナンバー導入に伴い、昨年から様々な様式が変更になりましたが、変更に追いついていくのは大変ですね。
同一生計・控除対象・源泉控除対象配偶者とは
配偶者と名のつく用語が3つ!
税法改正は大小含め、毎年あります。大改正はもちろん理解するのに時間を要し大変ですが、様式の変更や新たな用語も実務家泣かせなところがあります。
平成30年度分以降の配偶者控除及び配偶者特別控除の見直しの(2)ですが、新たな用語が出てきました。
配偶者控除については、これまで「控除対象配偶者」の一言で済んでいましたが、この改正で3つの“配偶者”と名の付く用語がでてきました。
1.同一生計配偶者
居住者の配偶者でその居住者と生計を一にするもの(青色事業専従者等を除く)のうち、合計所得金額が38万円以下である者をいう。
2.控除対象配偶者
同一生計配偶者のうち、合計所得金額が1,000万円以下である居住者の配偶者をいう。
3.源泉控除対象配偶者
居住者(合計所得金額が900万円以下である者に限る)の配偶者でその居住者と生計を一にするもの(青色事業専従者等を除く)のうち、合計所得金額が85万円以下である者をいう。
上記1と3は新たに登場した用語で、2の“控除対象配偶者”は改正前にもありましたが、言葉は同じですが、意味が異なります。
改正前の「控除対象配偶者」は改正後の「同一生計配偶者」のことを意味します。かなりややこしいです。今後、これは間違いやすいポイントになると思われるので注意が必要です。
3の“源泉控除対象配偶者”は配偶者控除や配偶者特別控除に関わらず、38万円満額控除が受けられるケースに該当する用語です。
実務上のポイント
今般の改正の配偶者控除は、従前どおり配偶者の合計所得金額が38万円以下の場合に適用される点は変わりありませんが、“納税者本人の所得制限”が設けられましたので納税者本人の合計所得金額が1,000万円超だと、控除額が減少又は無くなるため、結果として増税となります。
月々の源泉徴収事務や年末調整への影響
月々の源泉徴収事務における控除の対象については、「源泉控除対象配偶者」に限られることになります。
納税者本人の合計所得金額が900万円超~1,000万円以下の場合には、控除はありますが、月々の源泉徴収では考慮されず、年末調整において配偶者控除又は配偶者特別控除の適用を受けることになります。
平成30年度分以降の配偶者控除及び配偶者特別控除の見直し
配偶者控除及び配偶者特別控除の見直し
まずは国税庁の源泉所得税の改正のあらましを見てみましょう。
(1)改正前の制度の概要
イ 控除対象配偶者とは、居住者(国内に住所を有し、又は現在まで引き続いて1年以上居所を有する個人をいいます。以下同じです。)と生計を一にする配偶者(青色事業専従者として給与の支払を受ける人及び白色事業専従者を除きます。以下同じです。)で、合計所得が38万円以下である人をいいます。
また、老人控除対象配偶者とは、控除対象配偶者のうち年齢70歳以上の人をいいます。
ロ 居住者が控除対象配偶者を有する場合には、その居住者のその年分の所得から38万円(その控除対象配偶者が老人対象配偶者である場合には、48万円)が配偶者控除額として控除されます。
ハ 居住者(合計所得金額が1,000万円以下の人に限ります。)が、生計を一にする配偶者(合計所得金額が76万円未満の人に限ります。)で控除対象配偶者に該当しない人を有する場合には、その居住者のその年分の所得から、配偶者の所得に応じた一定の金額が配偶者特別控除として控除されます。
ニ 税額表の甲欄を使用して給与等に対する源泉徴収税額を求める際、居住者が控除対象配偶者を有する場合には、扶養親族等の数に1人を加えて計算します。
(2)改正の内容
イ 配偶者控除及び配偶者特別控除の控除額の改正配偶者控除の額が次表【改正後の配偶者控除額及び配偶者特別控除額の一覧表】のとおり改正され、合計所得金額が1,000万円を超える居住者については、配偶者控除の適用を受けることはできないこととされました。
また、配偶者特別控除の対象となる配偶者の合計所得金額が38万円超123万円以下とされ、その控除額が同じく次表【改正後の配偶者控除額及び配偶者特別控除額の一覧表】のとおり改正されました。
【改正後の配偶者控除額及び配偶者特別控除額の一覧表】※抜粋
─────────────────────────────────────────
|配偶者の合計所得金額 |居住者(納税者本人)の合計所得金額 |
| |─────────────────────────|
| |900万円以下|900万円超 |950万円超 |
| | |950万円以下|1,000万円以下|
|─────────────────────────────────────────|
|配|38万円以下 | 38万円 | 26万円 | 13万円 |
|偶| | | | |
|者|─────────────|─────────────────────────|
|控|うち、老人控除対象 | 48万円 | 32万円 | 16万円 |
|除| | | | |
|─────────────────────────────────────────|
|配| 38万円超 85万円以下| 38万円 | 26万円 | 13万円 |
| |───────────────────────────────────────|
|偶| 85万円超 90万円以下| 36万円 | 24万円 | 12万円 |
| |───────────────────────────────────────|
|者| 90万円超 95万円以下| 31万円 | 21万円 | 11万円 |
| |───────────────────────────────────────|
|特| 95万円超100万円以下| 26万円 | 18万円 | 9万円 |
| |───────────────────────────────────────|
|別|100万円超105万円以下| 21万円 | 14万円 | 7万円 |
| |───────────────────────────────────────|
|控|105万円超110万円以下| 16万円 | 11万円 | 6万円 |
| |───────────────────────────────────────|
|除|110万円超115万円以下| 11万円 | 8万円 | 4万円 |
| |───────────────────────────────────────|
| |115万円超120万円以下| 6万円 | 4万円 | 2万円 |
| |───────────────────────────────────────|
| |120万円超123万円以下| 3万円 | 2万円 | 1万円 |
| |───────────────────────────────────────|
| |123万円超 | 0円 | 0円 | 0円 |
─────────────────────────────────────────
ロ 配偶者に係る扶養親族等の数の計算方法の変更
税額表の甲欄を使用して給与等に対する源泉徴収税額を求める際、配偶者が源泉控除対象配偶者に該当する場合には、扶養親族等の数に1人を加えて計算することとされました。
また、同一生計配偶者が障害者に該当する場合には、扶養親族等の数に1人を加えて計算することとされました。
具体的な扶養親族等の数の計算方法は、次表【配偶者に係る扶養親族等の数の数え方】の通りです。
【配偶者に係る扶養親族等の数の数え方】(源泉控除対象配偶者の計算)※抜粋
──────────────────────────────────────────────
|配偶者の合計所得金額|居住者(納税者本人)の合計所得金額 |
| |───────────────────────────────────|
| |900万円以下|900万円超 |950万円超 |1,000万円超 |
| | |950万円以下|1,000万円以下| |
|──────────────────────────────────────────────|
|38万円以下 | 1人 | 0人 | 0人 | 0人 |
| | ~~~配偶者が障害者に該当する場合は1人加算~~~ |
|──────────|───────────────────────────────────|
|38万円超 | 1人 | 0人 | 0人 | 0人 |
|85万円以下 | | | | |
|──────────|───────|───────|─────────|─────────|
|85万円超 | 0人 | 0人 | 0人 | 0人 |
| | | | | |
──────────────────────────────────────────────
ハ 給与所得者の扶養控除等申告書等の様式変更等
「給与所得者の配偶者特別控除申告書」が「給与所得者の配偶者控除等申告書」に改められたことから、配偶者控除又は配偶者特別控除の適用を受けようとする居住者は、その年の年末調整の時までに給与等の支払者に当該申告書を提出しなければならないこととされ、当該申告書について記載事項の見直しが行われました。
また、上記イ及びロの改正に伴い、以下の申告書についても記載事項の見直しが行われました。
1.給与所得者の扶養控除等申告書
2.公的年金等の受給者の扶養控除等申告書
3.従たる給与についての扶養控除等申告書
※税務署で配布していた「給与所得者の保険料控除申告書 兼 配偶者特別控除申告書」(兼用様式)については、平成30年分以後、「給与所得者の配偶者特別控除申告書」と「給与所得者の配偶者控除等申告書」の2種類の様式となる予定です。
(3)適用時期
上記(2)の改正は、平成30年分以後の所得税について適用されます。本年(平成29年)分の所得税については、従前どおりです。
中小企業経営強化税制の手続き
中小企業投資促進税制の上乗せ措置とは手続きが異なるために注意が必要です
<中小企業等経営強化法における「経営力向上計画」の認定>
・生産性向上設備(A類型)に係る手続き
投資する設備のメーカーを介して、工業会等に生産性向上等の要件を満たしていることの証明書を発行してもらいます。ここまでは従来の上乗せ措置の時と同じです。
取得した証明書を、当該設備利用し生産性を上げるための「経営向上計画」の申請に添付して各事業分野の担当省庁に申請し、認定(注1)を受ける必要があります。
・収益力強化設備(B類型)に係る手続き
設備投資計画案について税理士等の事前確認した投資利益率を経済産業局に確認の申請(注2)をします。要件に該当する設備投資計画であることが確認できた場合には、確認書が発行されるのでそれを「経営力向上計画」の申請に添付して各事業分野の担当省庁に申請し、認定(注1)を受ける必要があります。
両類型とも経営力向上計画の認定後に設備を取得するのが原則ですが、申請に先立ち計画を開始し、設備を取得した後に計画申請をする例外も認められていますが、その場合には設備取得から60日以内に経営力向上計画が受理される必要があります。
注1 税制の適用を受けるためには、当該企業の事業年度内に認定を受ける必要があります。
注2 B類型の経済産業局の確認申請は設備取得前に行う必要があります。
中小企業経営強化税制の対象設備の拡大
中小企業経営強化税制では、これまでの上乗せ措置では対象外であった器具備品及び建物附属設備が対象設備に追加されました。
<中小企業経営強化税制の対象設備>
中小企業経営強化税制の対象となる「特定経営力向上設備等」とは生産等設備を構成する機械装置、工具、器具備品、建物付属設備及びソフトウエアで、経営力向上設備等に該当するもののうち一定の要件をクリアしたもの、つまり中小企業等経営強化法で規定される①生産性向上設備(A類型)②収益強化設備(B類型)を指しますが、このうち経営力向上に著しく資するもので、その法人(事業者)の認定を受けた経営力経営計画に記載されたもののうち一定規模以上のものが「特定経営力向上設備等」に該当することになります。
生産性向上設備(A類型)とは
イ 販売が開始されてから、機械装置10年以内、工具5年以内、器具備品6年以内、建物付属設備14年以内、ソフトウエア5年以内のものであること
ロ 旧モデル比で経営力の向上に資するものの指標が年平均1%以上向上
ハ ソフトウエア及び旧モデルがないものは、経営力向上要件は不要
収益強化設備(B類型)とは年平均5%以上の投資利益率が見込まれるものであることにつき経済産業局の確認を受けた投資計画に記載されたもの。
いずれも中小企業投資促進税制のA類型、B類型とほぼ同様です。
<対象設備の制限>
(A類型)
機械装置 制限なし
工具 測定工具、検査工具に限る
器具備品 電子計算機にあっては情報通信業のうち自己の電子計算機の情報処理機能の全部又は一部の提供を行うものを除く
医療機器にあっては医療保健業を行う事業者が取得するものを除く
建物付属設備 医療機器にあっては医療保健業を行う事業者が取得するものを除く
ソフトウエア 設備の稼働状況等に係る情報収集機能及び指示機能を有するものに限る
(B類型)
機械装置 制限なし
工具 制限なし
器具備品 電子計算機にあっては情報通信業のうち自己の電子計算機の情報処
理機能の全部または一部の提供を行うものを除く
医療機器にあっては医療保健業を行う事業者が取得するものを除く
建物付属設備 医療機器にあっては医療保健業を行う事業者が取得するものを除く
ソフトウエア 設備の稼働状況等に係る情報収集機能及び指示機能を有するものに限る
取得金額の要件はA類型、B類型とも同じく
機械装置 1台又は1基の取得価額160万円以上
工具、器具備品 1台又は1基の取得価額30万円以上
建物付属設備 一の取得価額60万円以上
ソフトウエア 一の取得価額70万円以上
中小企業経営強化税制の概要
中小企業経営強化税制は期限切れとなる中小企業投資促進税制の特別償却又は税額控除の上乗せ措置を引き継ぐ形で4月1日にスタートしました。中小企業者等が特定経営力向上設備等を取得した場合の特別償却又は税額控除制度、いわゆる中小企業経営強化税制が創設されました。
<中小企業投資促進税制の上乗せ措置の廃止>
まずは中小企業投資促進税制の上乗せ措置のおさらいから。
中小企業者等が、産業競争力強化法の施行の日(平成26年1月20日)から平成29年3月31日までの期間(特定期間)内に、特定機械装置等のうち特定生産性向上設備等に該当するものの取得又は製作をして、これを国内にある当該中小企業者等の営む指定事業の用に供した場合には、その指定の事業の用に供した日を含む事業年度において、即時償却又は7%(特定の中小企業者等については10%)の税額控除ができるというものでした。
中小企業者とは
イ 資本金の額又は出資金の額が1億円以下の法人
ただし、同一の大規模法人(資本金の額若しくは出資金の額が1億円を超える法人又は資本若しくは出資を有しない法人のうち常時使用する従業員の数が1,000人を超える法人をいい、中小企業投資育成株式会社を除きます。以下同じ)に発行済み株式又は出資の総額又は総額の2分の1以上を所有されている法人及び2以上の大規模法人に発行済株式又は出資の総額又は総額の3分の2以上を所有されている法人を除きます。
ロ 資本又は出資を有しない法人のうち常時使用する従業員の数が1,000人以下の法人
特定の中小企業者とは資本金の額若しくは出資金の額が3,000万円を超える法人以外の法人
適用対象資産となる特定生産性向上設備とは、産業競争力強化法第2条第13項に規定する生産性向上設備であって、経済産業省令で定めるもの、いわゆる「先端設備」(A類型)又は「生産ラインやオペレーションの改善に資する設備」(B類型)に該当するものをいいます。
この「先端設備」(A類型)とは
イ 最新モデル要件(設備等ごとに販売開始年度内で最新モデル又は販売開始年度が取得当年度若しくはその前年度であるモデルであること)
ロ 生産性向上要件(旧モデル比で生産性指標が1%向上していること)
また、「生産ラインやオペレーションの改善に資する設備」(B類型)とは、法人(事業者)が策定した投資計画(投資利益率が5%以上となることが見込まれるものであることにつき経済産業局の確認を受けたもの限ります)に記載されたものです。
<中小企業経営強化税制の概要>
平成29年度税制改正で創設された中小企業経営強化税制は、青色申告書を提出する中小企業者等で中小企業等経営強化法の経営力向上計画の認定を受けたものが、平成29年4月1日から平成31年3月31日までの間に、「特定経営力向上設備等」の取得等をして、国内にある当該中小企業者等の事業の用に供した場合に、即時償却又は7%(特定の中小企業者等は10%)の税額控除ができるというものです。
この制度は、中小企業投資促進税制の上乗せ措置を改組したものですから、基本的な仕組みは同様といえます。
相続財産を譲渡した場合の取得費加算の特例
=特例の概要=
この特例は、相続により取得した敷地、家屋、株式などを一定期間内に譲渡したときに相続税額の一定金額を譲渡資産の取得費に加算する事ができます。
注)特例は譲渡所得のみに適用があり、株式等の譲渡による事業所得及び雑所得は適用ありません。
○特例を受ける要件
(1)相続や遺贈により財産を取得した者であること。
(2)その財産を取得した人に相続税が課税されていること。
(3)その財産を相続開始のあった日の翌日から相続税の申告期限の翌日以後3年を経過する日までに譲渡していること。
○取得費に加算する相続税額
取得費に加算する相続税額は、相続等の開始した日により、次の(1)又は(2)の算式で計算した金額となります。
ただし、その金額がこの特例を適用しないで計算した譲渡益(敷地、家屋、株式などを売却した金額から取得費、譲渡費用を差し引いて計算します。)の金額を超える場合は、その譲渡益相当額になります。
(1)平成27年1月1日以後の相続等により取得した財産を譲渡したときの算式は、次の通りにです。
なお、譲渡した財産ごとに計算をする。
その者の相続税の課税価格の計算の基礎とされたその譲渡した財産の価額
その者相続税額×─────────────────────────────────── = 取得費に加算する相続税額
その者の相続税の課税価格 + その者の債務控除額
(2)平成26年12月31日以前の相続等により取得した財産を譲渡したときの算式は、譲渡した敷地等(注)又は敷地等以外の財産により、次の通りです。
イ敷地等を譲渡したとき
敷地等を譲渡した者にかかった相続税額のうち、その者が相続等で取得した全ての敷地等に対応する額
その者の相続税の課税価格の計算の基礎とされた敷地等の価額の合計額
その者の相続税額×───────────────────────────────── = 取得費に加算する相続税額
その者の相続税の課税価格 + その者の債務控除額
ただし、既にこの特例を適用して取得費に加算された相続税額があるときは、その金額を控除した額になります。
注)1敷地等とは、敷地及び敷地の上に存する権利をいう。
2敷地等には、相続時精算課税の適用を受けて、相続財産に合算された贈与財産である敷地等や相続開始前3年以内に被相続人から贈与により取得した敷地等が含まれ、相続開始時において棚卸資産又は準備棚卸資産であった敷地等や物納した敷地等及び物納申請中の敷地等は含みません。
ロ敷地等以外の財産(家屋や株式など)を譲渡したとき
家屋や株式などを譲渡した者にかかった相続税額のうちその譲渡した家屋や株式などに対応する額。
なお、譲渡した財産ごとに計算
その者の相続税の課税価格の計算の基礎とされたその譲渡した家屋や株式などの価額
その者の相続税額×────────────────────────────────────── = 取得費に加算する相続税額
その者の相続税の課税価格 + その者の債務控除額
○この特例を受けるための手続
この特例を受けるためには確定申告書を提出する事が必要です。
確定申告書に
1相続税の申告書の写し
2相続財産の取得費の加算される相続税の計算明細書
3譲渡所得の内訳書や株式等に係る譲渡所得の金額の計算明細書など
以上の書類の添付が必要になります。
この制度は相続した空き家に係る譲渡所得の特別控除の特例とは選択適用になります。
居住用財産の譲渡所得の特別控除の特例
=特例の概要=
個人が所有し生活の拠点にしてた自宅を売却したときは、所有期間に関係なく売却益から上限3,000万円までの特別控除が適用できる特例です。
○適用要件
1.個人が住んでいた家を売却するか、家とともにその土地や借地権を売却すること。なお、以前住んでいた家や土地等の場合は、住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売却すること。
注)住んでいた家又は住まなくなった家を取り壊した場合は、次の2つに要件全てに当てはまる事が必要。
(1)その土地の売買契約が家を取り壊した日から1年以内に締結され、かつ、住まなくなった日から3年を経過する日の属する12月31日までに売却すること。
(2)家を取り壊してから売買契約を締結した日までに、その土地を貸駐車場などその他の用途に使用していないこと。
2.売却した年の前年及び前々年にこの特例の適用を受けていないこと
3.自宅の買換えや自宅の交換の特例若しくは、自宅の売却損失についての損益通算及び繰越控除の特例の適用を受けていないこと。
4.売却した家や土地については、収用等の場合は特別控除など他の特例の適用を受けていないこと。
5.災害によって滅失した家の場合は、その土地を住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売却すること。
(注)東日本大震災により滅失した家の場合は、災害があった日から7年を経過する日の属する年の12月31日までです。
6.売主と買主が、親子や夫婦など特別な関係でないこと。
(注)特別な関係には、他に生計を一にする親族、家を売却した後その売却した家で同居する親族、内縁関係にある人、特殊な関係のある法人などが含まれます。
○適用除外
自宅を売却したときの特例は、次のような家には適用されません。
1.特例を受けるためだけの目的で入居した家は認められない。
2.居住用の家を新築している間だけ仮住まいとして使用した家、その他一時的な目的で入居した家は目とめられない。
3.別荘などのように主として趣味や娯楽又は保養のために所有する家は認められない。
※この特例は相続した空き家に係る譲渡所得の特別控除の特例と併用して適用ができる。
(注)同じ年内に併用する場合は両方を合わせて3,000万円が控除限度額になります。
空き家に係る譲渡所得の特別控除の特例
平成28年度の税制改正により、親が生前に一人暮らしていた実家を相続によって取得しその後空き家となったている場合、一定の要件を満たした譲渡においては3,000万円の特別控除が適用できることになります。
=制度の概要=
○対象家屋等
被相続人居住用家屋(注)及びその相続開始の直前において被相続人居住用家屋の敷地の用に供されていた土地等。
注)被相続人居住用家屋とは。
昭和56年5月31日以前に建築された家屋(区分所有建物は対象外)
相続開始の直前において被相続人が一人で居住していた家屋(配偶者等が同居していた家屋は対象外)
○譲渡要件
1.次の(1)又は(2)の要件を満たす譲渡であること。
(1)被相続人居住用家屋(イとロの要件を満たすものに限ります。)の譲渡又は被相続人居住用家屋とともにするその敷地の用に供されている土地等の譲渡。
(イ)譲渡の時において地震に対する安全性に係る規定又はこれに準ずる基準に適合するものであること。
(ロ)相続の時からその譲渡の時まで事業用、貸付用又は居住用に供されていたことがないこと。
(2)被相続人居住用家屋(イの要件を満たすものに限ります。)の除去をした後におけるその敷地の用に供されていた土地等(ロの要件を満たすものに限ります。)の譲渡。
(イ)相続の時からその除却の時まで事業用、貸付用又は居住用に供されていたことがないこと。
(ハ)相続の時からその譲渡の時まで事業用、貸付用又は居住用に供されていたことがないこと。
2.相続の時からその相続開始があった日以後3年を経過する日の属する年の12月31日までの間に譲渡したものであること。(注)
注)この特例が適用できる最も古い相続は、平成25年1月2日の相続開始であり、同日から3年を経過する日は平成28年1月1日です。
なお、税制改正の施行日(平成28年4月1日)の前日である平成28年3月31日までの譲渡は対象になりません。
○譲渡価額の限度額
譲渡価額が1億円を超えるものを除く。
○適用期間
平成28年4月1日から平成31年12月31日までの間に譲渡したものが対象です。
○手続の要件
確定申告書に地方公共団体の長等の被相続人居住用家屋及び被相続人居住用家屋の敷地の用に供されていた土地等が上記2の譲渡要件を満たすことの確認をした旨を証する書類等を添付する事が必要です。
○特例の内容
相続により対象家屋等を取得した個人について、居住用財産の譲渡所得の金額の計算において3,000万円の特別控除が適用が認められます。