税務お役立ち情報

7月の西日本を中心とした豪雨(平成30年7月豪雨)から1か月が、また先々月6月の大阪府北部を震源として発生した地震(大阪府北部地震)から1か月半が過ぎようとしています。
被害に遭われた皆様には心よりお見舞い申し上げます。

 

西日本豪雨は7月14日に『特定非常災害』と閣議決定されました。過去に適用された災害は阪神淡路大震災、新潟県中越地震、東北地方太平洋沖地震、熊本地震があります。

今回は被害を受けた場合の税務手続きについて概要を簡単にご案内いたします。

 

申告などの期限の延長

災害等の理由により申告・納付などをその期限までにできないときは、その理由のやんだ日から2か月以内の範囲でその期限を延長することができます。

 

1 地域指定 ・・・ 災害被害が広範囲の場合、国税庁長官が指定
2 対象者指定・・・ 国税システムが期限間際に使用不能である場合等に国税庁長官が指定
3 個別指定 ・・・ 個別に所轄税務署長に申告等の期限の延長を申請

 

1の地域指定がされた場合は3の個別指定による申請の必要はありません。

 

届出書や申請書等の提出期限も同様に延長することができます。申告等の期限延長の申請は、期限が経過した後でも行うことができますので、災害による被害を受けた方は、被災の状況が落ち着いてから、最寄りの税務署にご相談ください。

 

納税の猶予

災害等により財産に相当の損失を受けたときは、所轄税務署長に申請をすることによって次のとおり納税の猶予を受けることができます。

 

1 損失を受けた日に納期限が到来していない国税・・・納期限から1年以内または確定申告書の提出期限まで
2 既に納期限の到来している国税・・・原則として1年以内

 

予定納税の減額・源泉徴収の徴収猶予など

所得税の軽減免除は、最終的には翌年の確定申告で精算されますが、予定納税や源泉徴収の段階でも、その減額又は徴収猶予を受けることができます。

 

予定納税の減額は基本的には災害を受けた日の区分により1月1日~6月30日は6月30日の現況で7月15日までに第1期分及び第2期分(7月1日~10月31日は10月31日の現況で第2期分)の減額承認申請書を提出します。

 

ただ今回は7月以降であることと、被害がかなり大きいので災害減免法を適用することができます。
予定納税の減額だけでなく、給与所得者の源泉所得税の徴収猶予もあります。

 

雑損控除または災害減免法の適用

災害により住宅や家財などに損害を受けた場合は、確定申告を行うことで所得税法の雑損控除又は災害減免法の適用を受けることができます。『又は』でお気づきの方もいらっしゃると思いますが、確定申告で

 

1 「所得税法」による雑損控除の方法
2 「災害減免法」による所得税の軽減免除による方法

 

のどちらか有利な方法を選ぶことによって、所得税の全部又は一部を軽減することができます。
これら2つの方法には、次のような違いがあります。

 

――─────────────――─────────────────────────
|      |  雑損控除(所得税法)    |     災害減免法        |
―─────────────――──────────────────────────
|損失発生原因|災害・盗難・横領による損失   |災害による損失           |
―─────────────――──────────────────────────
|対象資産範囲|住宅及び家財を含む生活に通常  |住宅及び家財            |
|      |                |(損害金額が住宅及び家財の1/2以上) |
|      |必要な資産           |                  |
|      |                |                  |
|      |下記イ・ロのいずれか多い金額  |                  |
―─────────────――──────────────────────────
|計算・軽減額|イ 損額金額※-所得金額の1/10 |その年分の所得  |所得税軽減額|
|      |                |──────────────────
|      |                |500万円以下   | 全額   |
|      |                |           |      |
|       |ロ 損害金額※のうち災害関連  |500万円超750万円以下 | 1/2    |
|      |  支出の金額-5万円      |           |      |
|      |                |750万円超1000万円以下 | 1/4    |
|      |※保険金や損害賠償金など補填  |           |       |
|      | される金額を控除した金額   |           |       |
――─────────────――─────────────────────────

 

法人税の特例

災害により損失が生じた場合に、法人税などが還付される場合があります。

 

災害のあった日から1年以内に終了する事業年度において、災害損失欠損金額※がある場合には、その事業年度開始の日から1年(青色申告書の場合には2年)以内に開始した事業年度の法人税額のうち災害損失欠損金額に対応する部分の金額について、還付を請求することができます。

 

※災害損失欠損金額とは、棚卸資産や固定資産などについて災害のあった日の属する
事業年度において災害により生じた損失の額のうち欠損金額に達するまでの金額を
いいます。

 

消費税の簡易課税制度の適用(不適用)に関する特例

災害等が生じたことにより被害を受けた事業者が、当該被害を受けたことにより、簡易課税制度の適用を受けることが必要となった場合、又は受けることの必要がなくなった場合には、税務署長の承認を受けることにより、当該災害等の生じた日の属する課税期間から、簡易課税制度の適用を受けること、又はやめることができます。

 

例1 地震により、帳簿書類を紛失したことから、簡易課税制度の適用を受けて申告を行う場合
例2 地震により、緊急の設備投資が必要となったことから、簡易課税制度の適用をやめて、一般課税により申告を行う場合


・2018年7月31日 公開


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