大法人の電子申告の義務化
平成30年度税制改正により、「電子情報処理組織による申告の特例」が創設され、一定の法人が行う法人税等の申告は、電子情報処理組織
(e-Tax)により提出しなければならないこととされました。
電子申告の義務化の対象となる税目、法人の範囲、手続等は以下のとおりとなります。
1.対象税目 (注1)
法人税、地方法人税、消費税及び地方消費税
(注)1 地方税の法人住民税及び法人事業税についても電子申告が義務化されます。
2.対象法人の範囲(注2)
(1) 法人税、地方法人税
① 内国法人のうち、その事業年度開始の時において資本金の額又は出資金の額(以下「資本金の額等」といいます。)が1億円を超える法人
② 相互会社、投資法人及び特定目的会社
(2) 消費税及び地方消費税
(1)に掲げる法人に加え、国及び地方公共団体
(注2) 義務化対象法人には、人格のない社団等及び外国法人は含まれません。
3.対象手続
確定申告書、中間(予定)申告書、仮決算の中間申告書、修正申告書及び還付申告書
4.対象書類
上記3.の申告書及び申告書に添付すべきものとされている書類の全て
5.例外的書面申告
電気通信回線の故障、災害その他の理由によりe-Taxを使用することが困難であると認められる場合において、書面により申告書を提出することができると認められるときは、納税地の所轄税務署長の事前の承認を要件として、法人税等の申告書及び添付書類を書面によって提出することができます。
6.適用開始届出
電子申告の義務化の対象となる法人(以下「義務化対象法人」といいます。)は、以下のとおり納税地の所轄税務署長に対し、適用開始事業年度等を記載した届出書(「電子申告義務化適用届出書(仮)」)を提出することが必要です。
(1) 平成32年3月31日以前に設立された法人で平成32年4月1日以後
最初に開始する事業年度(課税期間)において義務化対象法人となる場合
当該事業年度(課税期間)開始の日から1か月以内
(2) 平成32年4月1日以後に増資、設立等により義務化対象法人となる場合
イ 増資により義務化対象法人となる場合
資本金の額等が1億円超となった日から1か月以内
ロ 新たに設立された法人で設立後の最初の事業年度から義務化対象法人となる場合
設立の日から2か月以内
(3) 平成32年4月1日以後に義務化対象法人であって消費税の免税事業者から課税事業者となる場合
課税事業者となる課税期間開始の日から1か月以内
7. 適用日
平成32年4月1日以後に開始する事業年度(課税期間)から適用
個人事業者が電子申告すると青色申告特別控除の金額が変わる?
個人所得税の青色申告控除についてみていきます。
青色申告者に対しては、種々の特典がありますが、その一つに所得金額から65万円又は10万円を控除する青色申告特別控除があります。
平成30年度税制改正により、この青色申告特別控除額が現行の65万円から55万円に引き下げられる見込みです。
なお、10万円の控除については現行のままです。
この青色申告特別控除額は、今回の個人所得課税の見直しに伴い、給与所得控除額を10万円引き下げることに合わせての引き下げとなりました。
ただし、青色申告特別控除については、従来の65万円控除の要件に加えて、法に則って電子帳簿を保存するか、または電子申告を行った場合には、現行のまま65万円の控除を受けられるとされています。
平成32年から基礎控除が38万円から48万円に引き上げられることを加味すると、現在65万円控除を受けている方が書面申告のままだとプラスマイナス0ですが、書面申告から電子申告に変えた場合等は、現在より10万円控除額が増えることになります。
今まで書面申告だから、なんとなく書面申告を続けておられる方も、控除額に10万円も差が出てくるとなると、電子申告してみる価値はあると思います。
こちらについては、所得税は平成32年から、住民税は33年から適用される予定です。
ダイレクト納付
ダイレクト納付とは、e-Tax(国税電子申告・納税システム)により申告書等を提出した後、納税者自身名義の預貯金口座から、即時又は
指定した期日に、口座引落しにより国税を電子納付する手続です。
利用に当たっては、事前に税務署へe-Taxの利用開始手続を行った上、専用の届出書を提出する必要があります。
利用が可能な税金の種類等
利用可能税目
全ての税目
ただし、納付手続方法によりご利用できない税目があります。
利用可能額、利用可能な金融機関
利用される金融機関によって利用可能額が異なるので、「利用可能金融機関一覧」の「取扱可能金額桁数」をご確認ください。
利用可能時間
e-Taxの利用可能時間内、かつ、即時に納付される場合はご利用される
金融機関のシステムが稼働している時間
手数料
不要
領収証書
発行されません。
領収証書が必要な場合は、最寄りの金融機関又は所轄の税務署の窓口で現金での納付が必要となります。
電子申告については義務化や特典があり、納付についても金融機関等の窓口へいかずにインターネットバンキングで納付が出来るようになりどんどん便利になってきました。
・2018年7月2日 公開