NISAについて
まずおさらいですが、NISAが設立された背景について簡単に説明します。
以前、『日本経済が冷込んだため税率を安くして投資を推進しよう』という試みから、株等の配当や売却益にかかる税率が20.315%から10.147%に軽減されていました。
しかし、2013年12月末でこの制度は終了となり、2014年1月からは税率が元に戻ったため、これに代わる投資家向け優遇制度としてNISAが導入された訳です。
日本の金融資産は諸外国と比べるとかなり預金に偏っており、資産流動性が非常に鈍いことから、貯蓄に回っている個人資産をより投資に向けられやすくなるよう投資環境を整備することにより、経済の活性化へ繋げることが狙いですね。
NISAですが、次のような特徴があります。
1.2016年1月以降は毎年投資金額120万円分(2015年12月以前は100万円)までの株式投資や投資信託にかかる値上がり益が非課税となります(売却等をして空いた非課税枠の再利用は不可)。
また、上場株式の配当金等については株式数比例配分方式という方式を選択した場合に非課税となります(株式投資信託の分配金については非課税)。
2.2014~2015年は毎年新たに100万円、2016~2023年までは毎年新たに120万円の非課税枠が追加されます。
3.非課税期間は5年間。5年経過時に保有している場合は、売却・ロールオーバー(新たな非課税枠への投資)・課税口座に移行の中から選択する。
4.基本は1人1口座(改定により毎年口座を変更できるようにはなりました。)
5.損失が出ても他口座の利益との損益通算ができない。
6.損失が出た場合に、確定申告をしても損失の繰越ができない。
7.国債、社債、公社債投資信託は取引対象外。
8.確定申告の必要なし。
9.他口座にある上場株式等をNISA口座へ移管はできない。
10.被相続人のNISA口座から相続人のNISA口座への受入れはできない。
11.海外勤務時には口座解約しないといけないこともある。
など。
1.については、よくある勘違いとしては120万円の利益までが非課税と思っている方も多いようですが、120万円の投資金額までが非課税です。
極端な例ですと、120万円で購入した上場株式が1億円になり、売却したとしても税金はかからないということですね。
『非課税』と聞くと何だかものすごくお得な感じがしますが、損失が出てしまうような場合は、NISAの方が課税口座よりも不利となります。
まぁ、最初から損をするつもりで株の売買をする人は少ないとは思いますが・・・。
また、2016年4月(口座開設受付は2016年1月)からはジュニアNISAが新設されます。
対象は日本に居住する0~19歳の未成年者で、非課税枠は年間80万円で非課税期間は最長5年、投資可能期間は平成2023年12月までです。
NISAとの違いについては、今回は説明を省略します。
赤ちゃんや幼稚園児名義の口座で『株の売買』を行うというのも何か変な感じもしますが、少しでも資金が流動するようにと政府も必死というわけでしょうか?
・2016年2月14日 公開