輸出免税取引
■輸出免税取引とは
事業者が日本国内で商品などを販売する場合には原則として消費税がかかってきますが、『海外で日本の商品を使用する人に日本の消費税を課すことは適当でない』という理由から、一定の要件を満たす取引は『輸出免税取引』として消費税が免除されます。
輸出免税取引には商品等の物品を輸出することの他、日本と海外との輸送や通信(国際電話)などのサービスも含まれます。
免税と言うくらいですので輸出取引を行っている事業者は国内販売のみを行っている事業者より当然、消費税の納税額は少なくなります。
■消費税の計算(消費税本則課税事業者の場合)
極端な例ですが、実際にどれくらい消費税の納税額が減少するか計算をしてみます。
『例題』
国内で税込648円で仕入れた商品を1,080円で売却
★国内販売の場合
1)1,080円÷108%×8%=80円(売上に係る消費税)
2) 648円÷108%×8%=48円(仕入に係る消費税)
3) 1)-2) =32円(納付する消費税)
☆輸出販売の場合
1)1,080円÷108%×0%= 0円(売上に係る消費税)
2) 648円÷108%×8%= 48円(仕入に係る消費税)
3) 1)-2) =-48円(還付される消費税)
上記の例ですと 32円-(-48円)=80円分輸出販売の方が消費税納税額が減少しています。
ニュース等でも度々話題となりますが、総売上のうち輸出免税取引の占める割合が多い企業ほど多額の消費税還付を受けられることから、多くの自動車販売メーカーは特に輸出に力を入れている様です。
■必要書類
輸出免税の適用を受けるためには『実際に輸出取引を行ったか』を証明する証憑書類の保存が必要となります。
物品等の輸出には大まかに、運送等による通常の輸出、郵便による輸出の2つがあり、それぞれ証憑書類が定められています。
★運送等による通常の輸出…輸出許可証など(税関長が証明した書類)
★郵便による輸出(EMSなど)
1) 20万円超のもの …輸出許可証など(税関長が証明した書類)
2) 上記以外 …輸出取引を行った事実が確認出来る書類
(販売先の氏名、住所が確認出来る書類や
商品発送時の郵便物受領証など※)
※たとえばEMSでは宛名ラベル印刷サービスがありますが、
こういった資料だけではなく発送伝票控等の書類も保存を
しておいた方が良いと思われます。
今回は実際に商品が移動した場合の証憑を紹介致しましたが、最近はスマホアプリやソフトウェアなど物品以外の輸出取引も増えてきており、相手先の氏名や住所がわからない(総括して販売を行っているグーグル等から情報提供を受けられない場合など)ことから『輸出取引を行った事実が確認出来る書類』を提示出来ずに輸出免税が認められなかった事例もある様です。
輸出取引を行っている方や今後輸出販売を検討されている方は、税務調査で否認を受けないためにも具体的にどのような資料を保存すれば良いか、最寄りの税務署、税理士に相談をされてみてはいかがでしょうか。
・2016年3月8日 公開