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スイッチOTC薬控除医療費控除の特例について

=制度創設の背景=

平成27年6月に閣議決定された経済財政運営と改革の基本方針2015では、「個人の健康管理に係る自発的な取組を促す観点から、セルフメディケーションを推進する」とされています。

 

しかし、現行の医療費控除制度では、自己負担額が10万円(※1)を超えない場合には対象とならないため、スイッチOTC医薬品(※2)を用いてセルフメディケーションに取り組んでも、医療費控除の対象とならない場合があります。

 

このような現状を踏まえ、セルフメディケーションの推進のため、スイッチOTC医薬品の購入費用を対象とする所得控除制度が、創設されることになりました。

※1 その年の総所得金額等が200万円未満の人は、総所得金額等5%の金額。

※2 スイッチOTC医薬品とは、元来医療用医薬品として使われていた成分の有効性や安全性等が評価され、薬局で店頭販売できる一般用医薬品として医療用から転用(スイッチ)された医薬品のことで、詳細はまだ決定されていませんが、いわゆる市販薬のことです。

 

OTCは、英語の「Over The Counter(オー
バー・ザ・カウンター)」の略語であり、薬局等でカウンター
越しに医薬品を購入するという意味があります。

 

 

=制度の内容=

平成29年1月1日から平成33年12月31日までの間に、スイッチOTC医薬品を年間1万2千円以上購入(※3)した世帯(※4)に対して、その費用から1万2千円を差し引いた金額について最大10万円(最大控除金額8万8千円)までを所得控除の対象とする制度(※5)です。

※3 保険金、損害賠償金その他これらに類するものにより補塡される部分の金額を除きます。

※4 健康の維持増進及び疾病の予防への取組として「一定の取組」を行う個人が対象とされています。
上記の「一定の取組」とは、次の検診等又は予防接種(医師の関与があるものに限定)をいいます。
1.特定健康診査
2.予防接種
3.定期健康診断
4.健康診査
5.がん検診

※5 この制度による控除と現行の医療費控除の両方の適用を受けることはできません。

 

 

=スイッチOTC薬控除を受けるには=

今まで医療費の自己負担額が10万円を超えていないために、医療費控除の対象とならなかった方々でも、今回創設されるスイッチOTC薬控除では対象となる方がかなり増えるかと思われます。

 

このスイッチOTC薬控除は、医療費控除と同様に年末調整ではなく確定申告が必要となりますのでご注意ください。

 

まだスイッチOTC薬控除の適用手続について、詳細が明らかにされておりませんが、適用を受けられるように、医薬品の購入を証明する領収書(レシート)は破棄せずに、確定申告時期までしっかりと保管しておきましょう。


・2016年2月27日 公開


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