税務お役立ち情報

年金にかかる税金の計算方法

まず、年金収入は雑所得になります。
雑所得の金額は、収入金額から必要経費を差し引いて計算するのが原則ですが、公的年金等に係る所得計算は以下のように公的年金等控除額を差し引いて計算します。

 

a)65歳未満の方

公的年金等の収入金額     公的年金等に係る雑所得の金額

70万円以下   0円
70万円超  130万円未満   収入金額-70万円
130万円以上  410万円未満   収入金額×0.75- 37万5千円
410万円以上  770万円未満   収入金額×0.85- 78万5千円
770万円以上           収入金額×0.95-155万5千円

 

b)65歳以上の方

公的年金等の収入金額     公的年金等に係る雑所得の金額

120万円以下   0円
120万円超   330万円未満   収入金額-120万円
330万円以上  410万円未満   収入金額×0.75- 37万5千円
410万円以上  770万円未満   収入金額×0.85- 78万5千円
770万円以上           収入金額×0.95-155万5千円

 

単純な目安として、公的年金等の収入が65歳未満の方は70万円以下、また、65歳以上の方は120万円以下であれば公的年金等の所得はゼロとなるということです。

 

では所得が発生する方はどうすればいいのかといいますと、公的年金等の収入金額が400万円以下で、かつ、公的年金等に係る雑所得以外の各種の所得金額が20万円以下である場合には、申告の必要は無いということになっています。

 

じゃあ税金はどうなるのかいいますと、給与と同じように源泉徴収されて完了です、ということです。

 

補足ですが、公的年金受給者には秋に「公的年金等の受給者の扶養親族等申告書」が送られてくるのですが、この申告書を提出することによって社会保険料の控除や源泉徴収税額が計算されますので、提出しないと高い税金を源泉徴収されることになります。

 

「公的年金等の受給者の扶養親族等申告書」を提出した場合の計算

源泉徴収税額=(年金支給額-社会保険料-各種控除額)×5.105%

 

「公的年金等の受給者の扶養親族等申告書」を提出しない場合の計算

源泉徴収税額=【年金支給額-社会保険料-(年金支給額-社会保険料)×25%】×10.21%

 

公的年金等以外の年金収入がある方の雑所得の計算はといいますと、

①公的年金等以外の年金収入金額+剰余金や割戻金
②公的年金等以外の年金収入金額×(保険料又は掛金の総額÷年金の支払総額)

①(お支払金額)-②(必要経費分)が所得になります。

生命保険会社等から送られてくる「お支払明細書」をよく確認してください。

この計算で20万円を超える方や公的年金等の収入が400万円超ある方、他の所得で20万円を超える方は確定申告が必要となります。

 

また、源泉徴収で完了という方でも
(1)生命保険料を支払った。
(2)家族の国民年金を代わりに支払った。
(3)1年間に一定額以上の医療費を支払った。
(4)家族構成が変わった。
などのケースでは申告すれば税金が戻ってくる可能性がありますので、よく検討してください。

 

公的年金からの住民税の控除(特別徴収)

4月1日現在で公的年金を受給しており、公的年金所得にかかる個人住民税が課税される65歳以上の方は年金から個人住民税が特別徴収されます。

 

ただし、以下に該当する場合は特別徴収の対象にはなりません。
老齢基礎年金等の受給額が年額18万円未満の場合
当該年度の特別徴収税額が公的年金等の給付年額を超えている場合
介護保険料が特別徴収対象でない場合

 

年金から引き落としされるのは、年金所得の金額から計算した住民税のみです。給与所得や事業所得などの金額から計算した住民税額は、これまでどおり給与からの引き落とし、または納付書で収納めることになります。

 

以上のように、年金受給となった方の多くは社会保険料も合わせて年金から控除されますので、給与収入の時と同じく特に何もする必要がないように制度化が進んでいるわけですね。

 

ただし、ケースによって申告をしないと余分に税金を支払ったままになることも多々ありますので、よく見直されることをお勧めします。

 


・2018年3月23日 公開


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