税務お役立ち情報

障害者雇用率制度と納付金制度

従業員が一定数以上の規模の事業主は、従業員に占める身体障害者・知的障害者・精神障害者の割合を「法定雇用率」以上にする義務があります。
現在の民間企業の法定雇用率は2.2%なので、従業員を45.5人以上雇用している企業は、障害者を1人以上雇用しなければなりません。

 

ちなみに、問題となっています国や地方公共団体等の法定雇用率は2.5%、都道府県等の教育委員会は2.4%となっています。

この法定雇用率は平成30年4月1日から改正となり、今後平成33年4月までに更に0.1%引き上げられる予定です。

この障害者雇用率制度の算定対象は、身体障害者手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳の所有者です。(短時間労働者は原則0.5人カウント)

 

さて、法定雇用率を達成していない企業のうち、常用労働者100人超の企業は障害者雇用納付金を納めなければなりません。

障害者を雇用するためには、作業施設や作業設備の改善、職場環境の整備、特別の雇用管理等が必要となるため、一定の経済的負担を伴うことから、障害者を多く雇用している事業主の経済的負担を軽減し、事業主間の負担の公平を図りつつ、障害者雇用の水準を高めることを目的として「障害者雇用納付金制度」が設けられています。

 

障害者雇用納付金の徴収額

常時雇用している労働者数が100人を超える障害者雇用率未達成の事業主は、法定雇用障害者数に不足する障害者数に応じて1人につき月額50,000円を納付しなければいけません。

常時雇用している労働者数が100人を超え200人以下の事業主については平成32年3月31日まで特例で1人につき40,000円に減額されます。

 

反対に障害者を多く雇用している事業主への支給

①障害者雇用調整金
常時雇用している労働者数が100人を超える事業主で障害者雇用率を超えて障害者を雇用している場合は、その超えて雇用している障害者数に応じて1人につき月額27,000円が支給されます。

 

②報奨金
常時雇用している労働者数が100人以下の事業主で、各月の雇用障害者数の年度間合計数が一定数(各月の常時雇用している労働者数の4%の年度間合計数又は72人のいずれか多い数)を超えて障害者を雇用している場合は、その一定数を超えて雇用している障害者の人数に21,000円を乗じた額が支給されます。

 

障害者雇用の税制上の優遇措置

障害者を多数雇用する場合の機械等の割増償却制度

障害者を多数雇用する事業所で次のa~cの要件のうちいずれかを満たせば、24%(工場用建物及び施設は32%)の割増償却が可能。
(適用期間 平成32年3月31日まで)

 

a従業員に占める障害者の割合が50%以上
b雇用している障害者数が20人以上であり、かつ従業員に占める障害者の割合が25%以上
c法定雇用率を達成している事業主で、雇用している障害者数が20人以上であり、かつ雇用障害者に占める重度障害者の割合が55%以上

 

減価償却資産は次の①②に掲げるもので、減価償却を行う年又はその前5年以内の各年において取得、制作、建設した機械・設備等
①障害者が労働に従事する事業所に設置されている機械及び装置
②障害者が労働に従事する事業所にある工場用の建物及びその付属設備

 

障害者を多数雇用する事業主に係る不動産取得税・固定資産税の課税の特例

心身障害者を多数雇用する事業所で次のabの要件を満たせば,不動産取得税及び固定資産税の減額があります。 (適用期間 平成31年3月31日まで)

 

a障害者雇用割合が50%以上かつ20人以上の重度障害者をを雇用
b「重度障害者多数雇用事業所施設設置等助成金」等を用いて事業用施設を取得

 

不動産取得税の減額
平成29年3月31日までの間に取得し、引き続き3年以上事業のように供する事業用施設→当該税額から取得価格の1/10に相当する額に税率を乗じて得た額固定資産税の減額平成29年3月31日までの間に取得した事業用家屋の(取得から5年分に限る)課税標準となるべき価格の1/6に心身障害者の雇用割合及び税率を乗じた額

 

障害者を多数雇用する事業所に係る事業所税の特例 (適用期限 恒久措置)

【事業所税資産税割】
要件①障害者を10人以上雇用
②障害者雇用割合が50%以上
③「重度障害者多数雇用事業所施設設置等助成金」等を受給当該事業所の床面積の1/2に相当する面積を控除する。

 

【従業員割】
障害者(身体障害者手帳、療育手帳、精神保健福祉手帳等の所持者)を雇用する事業所
従業員給与総額の算定及び免税点の判定において、障害者は従業員から除く。

 

障害者雇用助成金

障害者を雇入れた場合などの助成金について、どういったものがあるかご紹介します。

 
●特定求職者雇用開発助成金
特定就職困難者コース
発達障害・難治性疾患患者雇用開発コース
障害者初回雇用コース
●トライアル雇用助成金
障害者トライアルコース・障害者短時間トライアルコース
●障害者雇用安定助成金
障害者職場適応援助コース
障害者雇用安定助成金(中小企業障害者多数雇用施設設置等コース)
●施設等の整備や適切な雇用管理の措置を行った場合
障害者雇用納付金制度に基づく助成金
●職業能力開発をした場合
人材開発支援助成金(障害者職業能力開発コース)
●職場定着のための措置を実施した場合
障害者雇用安定助成金(障害者職場定着支援コース)

 

障害者雇用に関する助成金は多々ありますが、雇入れの際にハローワークの紹介が要件になっているものもありますので、確認しましょう。助成金ごとに異なる受給要件だけでなく、受給できる事業主は以下のすべての要件を
すべて満たすことで需給の対象となります。
1.雇用保険適用事業所の事業主であること。
2.支給のための審査に協力すること。(必要書類等の整備・保管・提出等)

 

以上、障害者雇用についてご案内しましたが、今後は労働者不足となり障害者の雇用に積極的に取組む必要があるでしょうね。

 


・2018年10月2日 公開


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