平成30年度分以降の配偶者控除及び配偶者特別控除の見直し
配偶者控除及び配偶者特別控除の見直し
まずは国税庁の源泉所得税の改正のあらましを見てみましょう。
(1)改正前の制度の概要
イ 控除対象配偶者とは、居住者(国内に住所を有し、又は現在まで引き続いて1年以上居所を有する個人をいいます。以下同じです。)と生計を一にする配偶者(青色事業専従者として給与の支払を受ける人及び白色事業専従者を除きます。以下同じです。)で、合計所得が38万円以下である人をいいます。
また、老人控除対象配偶者とは、控除対象配偶者のうち年齢70歳以上の人をいいます。
ロ 居住者が控除対象配偶者を有する場合には、その居住者のその年分の所得から38万円(その控除対象配偶者が老人対象配偶者である場合には、48万円)が配偶者控除額として控除されます。
ハ 居住者(合計所得金額が1,000万円以下の人に限ります。)が、生計を一にする配偶者(合計所得金額が76万円未満の人に限ります。)で控除対象配偶者に該当しない人を有する場合には、その居住者のその年分の所得から、配偶者の所得に応じた一定の金額が配偶者特別控除として控除されます。
ニ 税額表の甲欄を使用して給与等に対する源泉徴収税額を求める際、居住者が控除対象配偶者を有する場合には、扶養親族等の数に1人を加えて計算します。
(2)改正の内容
イ 配偶者控除及び配偶者特別控除の控除額の改正配偶者控除の額が次表【改正後の配偶者控除額及び配偶者特別控除額の一覧表】のとおり改正され、合計所得金額が1,000万円を超える居住者については、配偶者控除の適用を受けることはできないこととされました。
また、配偶者特別控除の対象となる配偶者の合計所得金額が38万円超123万円以下とされ、その控除額が同じく次表【改正後の配偶者控除額及び配偶者特別控除額の一覧表】のとおり改正されました。
【改正後の配偶者控除額及び配偶者特別控除額の一覧表】※抜粋
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|配偶者の合計所得金額 |居住者(納税者本人)の合計所得金額 |
| |─────────────────────────|
| |900万円以下|900万円超 |950万円超 |
| | |950万円以下|1,000万円以下|
|─────────────────────────────────────────|
|配|38万円以下 | 38万円 | 26万円 | 13万円 |
|偶| | | | |
|者|─────────────|─────────────────────────|
|控|うち、老人控除対象 | 48万円 | 32万円 | 16万円 |
|除| | | | |
|─────────────────────────────────────────|
|配| 38万円超 85万円以下| 38万円 | 26万円 | 13万円 |
| |───────────────────────────────────────|
|偶| 85万円超 90万円以下| 36万円 | 24万円 | 12万円 |
| |───────────────────────────────────────|
|者| 90万円超 95万円以下| 31万円 | 21万円 | 11万円 |
| |───────────────────────────────────────|
|特| 95万円超100万円以下| 26万円 | 18万円 | 9万円 |
| |───────────────────────────────────────|
|別|100万円超105万円以下| 21万円 | 14万円 | 7万円 |
| |───────────────────────────────────────|
|控|105万円超110万円以下| 16万円 | 11万円 | 6万円 |
| |───────────────────────────────────────|
|除|110万円超115万円以下| 11万円 | 8万円 | 4万円 |
| |───────────────────────────────────────|
| |115万円超120万円以下| 6万円 | 4万円 | 2万円 |
| |───────────────────────────────────────|
| |120万円超123万円以下| 3万円 | 2万円 | 1万円 |
| |───────────────────────────────────────|
| |123万円超 | 0円 | 0円 | 0円 |
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ロ 配偶者に係る扶養親族等の数の計算方法の変更
税額表の甲欄を使用して給与等に対する源泉徴収税額を求める際、配偶者が源泉控除対象配偶者に該当する場合には、扶養親族等の数に1人を加えて計算することとされました。
また、同一生計配偶者が障害者に該当する場合には、扶養親族等の数に1人を加えて計算することとされました。
具体的な扶養親族等の数の計算方法は、次表【配偶者に係る扶養親族等の数の数え方】の通りです。
【配偶者に係る扶養親族等の数の数え方】(源泉控除対象配偶者の計算)※抜粋
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|配偶者の合計所得金額|居住者(納税者本人)の合計所得金額 |
| |───────────────────────────────────|
| |900万円以下|900万円超 |950万円超 |1,000万円超 |
| | |950万円以下|1,000万円以下| |
|──────────────────────────────────────────────|
|38万円以下 | 1人 | 0人 | 0人 | 0人 |
| | ~~~配偶者が障害者に該当する場合は1人加算~~~ |
|──────────|───────────────────────────────────|
|38万円超 | 1人 | 0人 | 0人 | 0人 |
|85万円以下 | | | | |
|──────────|───────|───────|─────────|─────────|
|85万円超 | 0人 | 0人 | 0人 | 0人 |
| | | | | |
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ハ 給与所得者の扶養控除等申告書等の様式変更等
「給与所得者の配偶者特別控除申告書」が「給与所得者の配偶者控除等申告書」に改められたことから、配偶者控除又は配偶者特別控除の適用を受けようとする居住者は、その年の年末調整の時までに給与等の支払者に当該申告書を提出しなければならないこととされ、当該申告書について記載事項の見直しが行われました。
また、上記イ及びロの改正に伴い、以下の申告書についても記載事項の見直しが行われました。
1.給与所得者の扶養控除等申告書
2.公的年金等の受給者の扶養控除等申告書
3.従たる給与についての扶養控除等申告書
※税務署で配布していた「給与所得者の保険料控除申告書 兼 配偶者特別控除申告書」(兼用様式)については、平成30年分以後、「給与所得者の配偶者特別控除申告書」と「給与所得者の配偶者控除等申告書」の2種類の様式となる予定です。
(3)適用時期
上記(2)の改正は、平成30年分以後の所得税について適用されます。本年(平成29年)分の所得税については、従前どおりです。
・2017年6月16日 公開