税務お役立ち情報

相続財産を譲渡した場合の取得費加算の特例

 

=特例の概要=

この特例は、相続により取得した敷地、家屋、株式などを一定期間内に譲渡したときに相続税額の一定金額を譲渡資産の取得費に加算する事ができます。
注)特例は譲渡所得のみに適用があり、株式等の譲渡による事業所得及び雑所得は適用ありません。

 

 

○特例を受ける要件

(1)相続や遺贈により財産を取得した者であること。

(2)その財産を取得した人に相続税が課税されていること。

(3)その財産を相続開始のあった日の翌日から相続税の申告期限の翌日以後3年を経過する日までに譲渡していること。

 

 

○取得費に加算する相続税額

取得費に加算する相続税額は、相続等の開始した日により、次の(1)又は(2)の算式で計算した金額となります。

ただし、その金額がこの特例を適用しないで計算した譲渡益(敷地、家屋、株式などを売却した金額から取得費、譲渡費用を差し引いて計算します。)の金額を超える場合は、その譲渡益相当額になります。

(1)平成27年1月1日以後の相続等により取得した財産を譲渡したときの算式は、次の通りにです。
なお、譲渡した財産ごとに計算をする。

 

その者の相続税の課税価格の計算の基礎とされたその譲渡した財産の価額
その者相続税額×─────────────────────────────────── = 取得費に加算する相続税額
その者の相続税の課税価格 + その者の債務控除額

 

(2)平成26年12月31日以前の相続等により取得した財産を譲渡したときの算式は、譲渡した敷地等(注)又は敷地等以外の財産により、次の通りです。

イ敷地等を譲渡したとき

敷地等を譲渡した者にかかった相続税額のうち、その者が相続等で取得した全ての敷地等に対応する額

 

その者の相続税の課税価格の計算の基礎とされた敷地等の価額の合計額
その者の相続税額×───────────────────────────────── = 取得費に加算する相続税額
その者の相続税の課税価格 + その者の債務控除額

 

ただし、既にこの特例を適用して取得費に加算された相続税額があるときは、その金額を控除した額になります。

注)1敷地等とは、敷地及び敷地の上に存する権利をいう。
2敷地等には、相続時精算課税の適用を受けて、相続財産に合算された贈与財産である敷地等や相続開始前3年以内に被相続人から贈与により取得した敷地等が含まれ、相続開始時において棚卸資産又は準備棚卸資産であった敷地等や物納した敷地等及び物納申請中の敷地等は含みません。

 

ロ敷地等以外の財産(家屋や株式など)を譲渡したとき

家屋や株式などを譲渡した者にかかった相続税額のうちその譲渡した家屋や株式などに対応する額。
なお、譲渡した財産ごとに計算

 

その者の相続税の課税価格の計算の基礎とされたその譲渡した家屋や株式などの価額
その者の相続税額×────────────────────────────────────── = 取得費に加算する相続税額
その者の相続税の課税価格 + その者の債務控除額

 

 

○この特例を受けるための手続

この特例を受けるためには確定申告書を提出する事が必要です。

確定申告書に

1相続税の申告書の写し

2相続財産の取得費の加算される相続税の計算明細書

3譲渡所得の内訳書や株式等に係る譲渡所得の金額の計算明細書など

以上の書類の添付が必要になります。

 

この制度は相続した空き家に係る譲渡所得の特別控除の特例とは選択適用になります。

 

 


・2016年11月2日 公開


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